ぼくの知らない戦争 [その他]
先日、近所のブックオフ(古本屋さん)で1冊の本を手に取りました。
『ぼくの見た戦争 2003年イラク』
報道カメラマンの高橋邦典さんが2003年のイラク戦争に行って写真を撮り、それに文章をつけたものです。
ヘルメットの中には妻と幼い息子の写真がはりつけられていた
2003年3月、アメリカは、イラクが大量破壊兵器を持っているという理由で、国連の決議がなくても、単独でイラク攻撃を行うという姿勢をとっていた。
アメリカは、イラクを「悪の枢軸」と批判し、「正義のため」、「イラクの人々をフセインの抑圧から解放するため」という大義名分のもとイラクへの攻撃を開始した。
戦闘で怪我をしたイラクの兵士たちがアメリカ兵の手当てを受けていた。
1人の捕虜がアメリカの救急兵に向かってかすれた声でこう言った。
「ありがとう」
ワタシがこの本を手にしたのは、たまたま目についたから。
パラパラとページをめくると、まったくリアリティーのない写真の数々・・・「これが現実・・・?」
兵士たちが走りだした。
同時に、ぼくが生まれてこのかた経験したことのないほどの炸裂音が耳を襲ってきた。
遠い国イラク。新聞やテレビの報道でその戦争の存在は知っていましたが、まったく実感の無い世界のお話。
遠い宇宙を舞台にしたSF映画と同じようなものでした。
開戦から20日、ぼくは、はじめてアメリカ兵の死を見た。
血だらけの頭は、ほとんど胴体から切りはなされている。
最後のページの著者紹介で、この写真を撮った高橋邦典さんのプロフィールを見て、軽いショックをおぼえました。
1966年宮城県生まれ。
ワタシと同い年でした。
ぼくは目の前でおこったことが、信じられなかった。
ぼくは今、戦場にきている。
ワタシと同じだけの時を生きてきた人が、戦地に行った。
戦争を知らないはずだと思っていた同世代の人間が、戦争を見て、人の死を、苦しむ人々を見た。
「きみたち報道関係者がきたって、なにも状況は変わらないんだ。帰ってくれ」
バグダッド市内にある病院の院長は投げすてるようにいった。
ベッドにマットレスはなく、床におきざりにされた患者さえもいる。
あとがきで高橋さんは、戦地で写真を撮る理由についてこう語っています。
「ジャーナリストとしての強い使命感のようなものよりも、自分がそこに行ってみたい、その土地の人びとと会ってみたい、そして、そういう過酷な環境におかれたときに自分はどんなことを感じるだろう、といったような自分の好奇心のほうが大きいのです。」
ワタシがもう一つショックをおぼえたこと。
それはこの本が105円で売られていたこと。
戦争が、この値段で手に入ること・・・それがいいのか悪いのか。どうなんだろう・・・。
終戦記念日の今日。65年前にここ日本でも戦争があったんですよね。
昨晩のテレビドラマ『歸國』で、長渕剛さん扮する秋吉部隊長が言った台詞、「便利さとは何だ?人がサボることだ」
同じくビートたけしさん扮する大宮上等兵が言った台詞、「恥を知れ」
現代に生きる人びとが忘れ去ってしまったもの、失ってしまったもの・・・それはあまりにも大きいのかも知れません。
イラクの写真は言葉も有りません
前橋も大空襲に会ったそうです
戦闘員、非戦闘員関係ない無差別爆撃ですからね!
それが戦争って言ってしまえばそうなんでしょうが
余りにも酷すぎますよね!
by inacyan (2010-08-15 09:39)
自分の住んでる松戸市では、戦争で犠牲になったのは人間や家屋だけではありません。
松戸市生まれの二十世紀梨の原木(天然記念物指定)も、戦争の影響で枯死してしまいました。
戦争は、人の生活も、貴重な文化財も、全てを破壊してしまいます。
戦争を地理的にも歴史的にも遠いモノを考え、あまつさえ面白半分に扱う人間までいますが、今日という日、しっかり認識を持って戦争とは何なのか、しっかり考える日にしたいです。
by 下総弾正くま (2010-08-15 11:59)
こんにちは
今もどこかで戦争は起きている…
なくならないものなのでしょうかね…
by 瓶太郎 (2010-08-15 12:52)
誰が今日を記念日にしたんでしょう、不思議です。
終戦の日、平和ボケしてしまった今を悔い改めるべきですね。
子供に蛍の墓を見せています、一緒に見れないのは自分が3度も
見て哀しすぎることを鮮明に覚えているから。
一緒に見てあげるべきなんでしょうが・・・
by まめ (2010-08-15 14:54)
う~ん。何かコメントを書こうと思ったのですが
「戦争」「平和」考えれば考えるほど何を書こうか、わからなくなります。
ただ写真のような現実を知って、
何も感じなくなる人間だけにはなりたくないな、と。
現代の豊かさの愚かさの中では
そういう心もいつの間にか失ってしまいそうですから。
by kulu (2010-08-15 15:30)
ここ数年、日本では「この間の戦争」が急速に風化している
気がしています。次世代がどのように日本を導くかはわかりませんが
過去をしっかりと子供や孫に伝えてやるのは我々の責任かと思いますね。
大人から子供まで、恥を知らないお話が今の日本には多すぎます...
by フォトヒロ (2010-08-15 16:01)
ライカでグッドバイの澤田さんや、ロバート・キャパに興味を持ったことがあります。
彼らは、自分が死ぬ時、何かを感じたようですね。
でも、やはり報道カメラマンがいなければ、その惨状もつたわらないわけで・・・・
報道って難しいと思います
by ぷりんうし (2010-08-15 23:56)
つらいし…
悲しいし…
だけど誰が悪いのかわからなくて
何が悪いのかわからなくて…
by tamanossimo (2010-08-16 01:56)
これはすごい内容の本なのですね。
イラク戦争自体、大量破壊兵器の存在を立証することなく、ほとんど一方的に米国によって引き起こされたものではないかと思われますが(9.11テロも本当にアルカイダによるものかどうか疑わしい、という説もあります)、結局、最終的に悲惨な目に合うのはいつの場合も一般市民や下級の兵士なのでしょう。
戦争がなぜ起こるのか、という議論には様々な考察がなされていますが、私は、広義の意味での経済問題ではないかと思っています。
戦争を引き起こすことによって確実にもうかる連中が存在し、そうした連中は、金や武器のほか、情報までコントロールしている。
つまり、何も知らない民衆を、一見、金とは関係ない理由(民族、宗教、貿易、領有権など)で煽りたて、戦争に導く。
操っている連中は多くの場合、その双方にコンタクトととっており、どちらが勝とうが負けようが自分のところの利益は確保する。
太平洋戦争の時の日本のように、日露・日中戦争で国力を疲弊させ暴発を招いて、「売られたケンカは買う」的に徹底的に痛めつけた上で占領し、草刈り場となった敗戦国の将来の果実までむさぼる。
そうした状況を作り出した真の意味での権力者(金や武器や情報を握るもの)が自ら戦場に赴くことはなく、ましてや戦火に斃れることなどあり得ないのでしょう。実に理不尽極まりないことです。
そうした構造を一気に変えることなど、一般の民衆には不可能です。
でも、戦争に駆り出されるのがその私たち民衆であるのであれば、私たちが手を取り合って、一斉にそうした戦争を拒否することにより、戦争そのものをやめさせることができるのかもしれません。
こうした本や、良心あるメディアが訴える戦争反対のための取り組みが、私たち民衆にそうした戦争を忌避する心を植え付ける手立ての一つとなるのであれば、大変価値あるものではないかと私は感じています。
長文、失礼いたしました。
by 伊閣蝶 (2010-08-16 11:58)
言葉が何も見つかりません。
戦争とはこの世で一番憎むべきものだと思う以外、
何も思いつきません。。。
by もももんがが (2010-08-16 16:31)